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アツボウグ(ATSuBOuGu)とは?


アツボウグは、撚糸技術で耐熱繊維の性能を引き出した、炎・熱・火花に強い耐熱素材手袋です。
アツボウグで出来た手袋は、一般的な耐熱手袋に多い革仕様とは異なり、ニット構造を採用しているため、軽量性・操作性・通気性に 優れており、作業時の快適性と安全性を高いレベルで両立しています。
特筆すべきは、ニット構造でありながら約 600℃で溶けた金属が飛んできたの溶接火花が貫通しないことです。
通常、ニット手袋は構造上「目(すき間)」が生じますが、アツボウグは撚糸技術と編立設計によって、この弱点を構造的にクリアし ています。
さらに、上位機種の「スーパーアツボウグ」は、ミドリ安全株式会社様の販路を通じて全国に普及し、シリーズ累計2万5千双以上を 販売してきたヒット商品です。
溶接・製造・保守・整備など、熱リスクのある幅広い現場で採用されています。
まずは、アツボウグと従来の耐火・耐熱手袋の違いを 4 つの観点から整理します。
アツボウグ(ATSuBOuGu)と類似製品の違い
【動画】燃焼比較実験
まずは実験動画をご覧ください。(約 1 分)
【違い①】素材と “自己消火作用” の仕組み
従来の一般的なアプローチ

最初の違いは、使用している素材と、その素材が持つ “燃えに くさの質” にあります。
アツボウグに使用しているのは、難燃繊維として知られている アラミド繊維。
消防服にも採用されるほど、耐火・耐熱性に優れた素材です。
燃えやすさを示す指標に「LOI 値(限界酸素指数)」があります。
数値が高いほど、燃焼しにくい素材だと判断されます。
素材と、LOI 値の比較
| 素材 | LOI 値(限界酸素指数) |
|---|---|
| 綿 | 約 18 |
| ウール | 約 25 |
| アラミド繊維 | 約 31 |

では、なぜ燃えにくいのか。
理由は、“酸素の消費量” にあります。
アラミド繊維は燃焼時に大量の酸素を消費するため、周囲の酸 素が不足し、燃焼が進みにくくなります。
その結果、表面が焦げ(炭化)始め、炎が自然に弱まっていく “自 己消火作用” が生まれるのです。
つまりアツボウグは、もし炎に触れたとしても、そこで終わり では く、自ら燃え広がりを止める性質を持った、安心構造の 手袋なのです。
【違い②】特殊ニット構造による “軽さ × 操作性 × 通気性”



2 つ目の違いは、「ニット構造でありながら高い耐火性能を実現している点」です。
アツボウグが生まれた背景には、溶接現場での大きな課題があります。
「革手袋は火には強いが、重くて指が動かしにくく、蒸れてつらい」
この不満を解決するために、軽く・操作性が高く・通気性も確保できる「ニット構造」に着目しました。
しかし、そこで大きな壁が立ちはだかります。
ニットは編み目があるため、火花が貫通してしまうのです。
編み網を埋めようと、ただ硬く・ぎゅっと編み込んでしまえば、革手袋と同じ問題が再発します。操作性・通気性が失われ、使いづら い手袋になってしまうのです。
ここで活きたのが、林撚糸独自の撚糸技術でした。
アツボウグで使用している糸は、
アツボウグの糸の特徴
- モコモコとしたボリューム
- 内部に空洞を備える(熱伝達を遅らせる構造)
- 繊維同士が絡み合い、編むと “自然に編み目が埋まる”
という、非常に特殊な構造になっています。
この糸によって、ニット特有の軽さ・操作性・通気性を保ちながら、火花の貫通を防ぐという「矛盾を両立した構造」が実現しました。
【違い③】撚糸技術 × 編み技術の融合による製造方法



アツボウグの製造方法には、一般的な耐熱手袋にはない大きな特徴があります。
実はこの特殊な糸は、ニット工場でも扱うことが難しい素材でした。
通常の編み機では糸が引っかかり、うまく編むことができなかったのです。
そこで林撚糸は、「撚糸会社でありながら、手袋を編むところから着手」しました
アツボウグの開発ステップ
- 糸の膨らみ方を調整(撚糸工程)
- 編んだときに編み目が自然に埋まるよう構造を設計(編み工程)
- 試作 →改良 →再撚糸 →再編み を繰り返し
このように、撚糸と編み、両方の知識を行き来しながら、製造技術そのものをつくり上げていったのです。
特殊撚糸と製品編みの両方を一気通貫でできる撚糸会社は、日本でほぼ存在しません。
その結果、「軽く、動きやすく、通気性があり、火花も通しにくい」という、類を見ない手袋が誕生しました。
【違い④】日本唯一の “防炎協会認定” と全国での普及

認定
開発の成果として、アツボウグの上位モデルであるスーパーア ツボウグは日本で唯一、防炎協会の認定を取得した耐熱手袋と なりました。
国内には多くの耐熱手袋がありますが、防炎協会の認定を受け ている製品は 2025 年現在、アツボウグのみです。
その信頼性から、さまざまな現場で採用が進んでいます。
主な導入シーン

高温設備の保守・点検現場(ライン作業)
設備が完全に冷えるまで待たずに触れられるため、ライン停止時間の削減に貢献。

食品工場の高温設備作業
熱せられた器具や機器を扱う際に、短時間の接触から手を守ります。

自動車・鉄鋼関連の加工現場など
火花や高温部材の反復作業時に使用され、作業負担の軽減に寄与。
その他、航空機部品の熱処理工程や、電気炉周りなど、空調だけでは対応できない高温 環境で選ばれています。
特にハイエンドモデルのスーパーアツボウグは、ミドリ安全様の販売ルートから全国に普及し、シリーズ累計2万5千双以上の販売を 記録しています。
アツボウグ開発の難しさ(他社では再現できない 2 つの理由)


アツボウグで使用している糸は、モコモコ形状で内部に空気層があり、かつアラミド繊維同士が絡まり合い、編むと自然に編み目が埋 まる特殊構造です。
この糸は、一般的なニット工場では扱いが難しく、糸の供給だけでは製品化できません。
アツボウグが他社で再現できない最大の理由は、次の 2 点です。

理由① 撚糸と編み、双方の知識が必要
撚糸だけ、編みだけでは成立せず、「糸づくり」と「編み」の両面を理解し、調整できる 技術が不可欠です。
林撚糸は、撚糸会社でありながら手袋の編み工程も自社で研究し、試作と改良を重ねて 製品化に成功しました。

理由②「撚糸 → 編み → 改良 → 撚糸」 を往復できる体制
市場の耐熱手袋は「糸を買って縫製する」工程が一般的です。
しかしアツボウグは、糸の構造から再設計できるため、製品要件に合わせて耐熱性・通 気性・柔軟性のバランスを調整できます。
言い換えれば、「糸から逆算して製品を設計できる」唯一の存在が 撚糸です。
これが、他社が追随できないアツボウグの開発力です。
アツボウグは洗濯しても、耐火・耐熱性能が “持続” する
一般的な耐熱手袋には、2 つのタイプがあります。
| タイプ | 耐熱方法 | 洗濯後の性能低下 |
|---|---|---|
| 薬剤添加型(綿・ポリエステル) | 難燃剤を後加工 | 低下する |
| アラミドなどの難燃素材構造型(アツボウグ) | 繊維自体が燃えにくい | 低下せず、性能が持続 |
アウトドア用品などで流通している難燃手袋の多くは、“後から薬剤を染み込ませるタイプ” です。
この場合、洗濯を繰り返すうちに薬剤が流れ落ち、難燃性能が低下していきます。
アツボウグは、繊維そのものが燃えにくいアラミド繊維を採用しています。
薬剤に頼らないため、日常のお手入れをしても性能が落ちません。
アツボウグの可能性(手袋の枠を超えた展開へ)


アツボウグは、最初は溶接・製造現場向けのプロユースとして開発されました。
現在は、同じ素材を活用した一般向けモデルも展開しています。
しかし、ここで終わりではありません。
アツボウグの中核となる技術は、「撚糸技術によって素材の性能を最大化できる点」にあります。
この発想を応用することで、手袋以外にも多くの展開が可能です。
- 高温部品を扱う現場向けアームカバー
- 耐火・耐熱マット・シート
- 炉周りや高温エリア用の安全用品
- 熱源・火花に触れる作業専用のワークウェア素材
- キッチンで便利に使える耐熱アイテム
「安全 × 軽量 × 快適」の全てを両立させた素材として、幅広い領域に応用できます。
さらに林撚糸は、企業と共同で「最適な形」を設計する開発パートナーとしての役割も担っています。
「既存の安全用品に、もう一段上の機能を持たせたい」
「現場のストレスを減らす新しい素材を作りたい」
そんな相談から、糸の設計段階でサポートが可能です。
アツボウグの思いは、「安全・快適を守りながら、全ての人の危険を防ぐこと。」
その思いを手袋以外にも広げ、安全用具の「安全と快適の両立」を次のステージへ押し上げていきたいと考えています。
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